続けたくなるインプラント治療費
M.Mさんの著書と巡り合ったお陰で、何とか高崎までたどり着くことができました。
非常に幸運だったと思っております。
たとえばM.Mシステムのような形態が、各地で個々に独立して増えていけば、我が国の歯科医療は飛躍的に進歩するでしょう。
それを阻んでいるのが患者の意識の持ち方で、次に肥大化した健康保険制度です。
今、M.Mさんのお陰で発端のA歯科での問題は帳消しになり、こうして得た知見が貴重な財産として残ることになりました。
有難いことです。
もし発端のA歯科のことがなかったら、急激な歯周病は発症しなかったにしろ、いずれ年とともに、ある程度の歯周病なり何かの歯の問題に悩まされることになったでしょう。
歯科医療への確たる知見もなく、M.Mさんのことも知らず、問題を抱え込んだままだったことでしょう。
巡り合わせの妙に感謝のみです。
患者側の問題は、医師の言いなりになることと、治療内容よりコストを気にする傾向が強すぎて、非保険医は論外といった人が多いことです。
現行の健保システムが必ずしも患者の利益にはなっていないのに、それを直視しようとはしないのです。
一方、歯科医の側では、若くて熱意のある人でも個人でやっていれば、ある日、健保制度が錬金術の賢者の石と見える時があるでしょう。
この誘惑に負けてしまうと、C歯科の例のごとく健保用のシナリオづくりに追われて、治療のほうはおろそかになってしまいます。
最近、財政難という理由から健保の自己負担率が上がりました。
これは患者の認識を促すには良いことです。
ヒョウタンからコマであります。
残念なのはマスメディアの対応で、一般家庭での出費の増加がいくらかといった、決まり文句の報道だけで、健保システムの現実を報道する意欲がないのは困ったことです。
これを機会に我々患者がそれぞれに自分の眼で見て、医療問題の現実を考えたいものです。
臼歯が数本なければ食事には相当不便します。
Krさんもそれに悩んできたようです。
それに臼歯を失うことは大黒柱を引き抜いてしまったようなものですから、家ならば潰れてしまいます。
歯の場合も、前歯に咳合力がかかるのですぐに動揺するようになり、抜ける結果になってしまいます。
aはKrさんの初診時のパノラマレントゲンです。
左上は唾、つまり第二小臼歯と第二大臼歯の二本が欠損しています。
(歯科では一般に歯を特定するのに番号を使い、上下それぞれ十六本ある歯を真ん中で分け、左右それぞれに前から奥へ1〜8としています。
数字に添えてある記号は、縦の線は左右1番の間、つまり中心を表し、横の線は上下の歯の間を表しています。
数字が横線より上にあれば上の歯を示し、縦の線より右にあれば向かって右、つまり本人からすれば左の歯を示すのです。
通常左右は本人にとっての左右を言いますので、向かいから見た場合は逆になります。
また日本語では1を中切歯、2を側切歯、3が犬歯、4は第一小臼歯、5は第二小臼歯、6〜8が第一〜第三大臼歯となります。
)左下は厩、つまり第一、第二大臼歯二本の欠損です。
右上は血、つまり小臼歯二本と大臼歯二本が欠損しています。
司(右下第二大臼歯)と、恒(左上第一大臼歯)は助からないので抜歯し、旬(右下親知らず)も抜歯しました。
結局、左上三本、左下二本、右上四本、右下一本、計十本ものインプラントが必要でした。
インプラントの症例の場合、私は第一に患者さんにかかる経済的負担を心配してしまいます。
具合も耐久性もとても良く、インプラントは大きな満足と喜びを患者さんにもたらしますが、費用は相当またKrさんの場合、レントゲンを見て分かるとおり、左右とも上顎の骨の厚さに不足が認められますので、造骨手術で厚い骨を造ってからインプラントを行なう必要があります。
この程度の症例は私の所の患者さんでは平均的な例です。
インプラントは私たちにとって慣れているからとても簡単で、造骨手術もほぼ自由自在に骨を造ることが可能です。
Krさんはこれだけ歯の欠損があっても全身症状がなく、難しい問題はありませんでした。
歯槽骨表面から上顎洞底までの距離が一・五ミリしかありません。
一二ミリのインプラントを用いたいのでこの分、厚い骨に造骨する必要があります。
このような症例がサイナスリフト(上顎洞底挙上術)の適応症です。
上顎洞底の膜を持ち上げ、そこに造骨材、自家骨、血液の成分を分離抽出した血小板を混ぜたものを押し込みます。
この部分が約六ヶ月で硬い骨になります。
この場合、約一五ミリの厚さの骨ができましかかってしまいます。
できるだけ多くの患者さんにこの素晴らしいものを利用していただけるよう、私はギリギリまで安価に抑えていますが、それでもインプラントが一本十八万円かかってしまいます。
それに被せて仕上げる補綴物が、種類により金属の四万五千円のものから前歯に用いる白い八万円のものまで五種類あり、どれを選択するかでそれが加算されます。
大臼歯なら見えないので金属の四万五千円のもので大丈夫ですが、見える部分は審美的要求があるので白いものを使うことになり、金属に硬質プラスチックを焼きつけたものが五万五千円、セラミックを焼きつけた金属焼付ポーセレンだと八万円かかってしまいます。
患者さんの話を聞くと、インプラントと補綴の合計で一本三十万から五十万円くらいの所が多いようです。
それと比べれば相当安く抑えていますが、それでも何本も欠損している人ではかなりかかってしまい、気の毒で一番心が痛みます。
このように通常技術はもちろん、右上の薄い部分はGBR(誘導骨再生術)という手術の適応です。
もちろん、先端技術も含め、あらゆる技術を自由かつ精密に駆使すれば、一般的には難しいと言われる症例も確実に治すことができるのです。
薄かった骨が厚くなり、長いインプラントが植立されています。
インプラントが骨としっかり結合しているので、硬い物を噛んでも全く問題ありません。
手記にあるとおり、きわめて快適に、違和感も全くなく、食べることができます。
きっとKrさんも、歯を失ったことさえ忘れてしまっているくらいではないかと思います。
私たちの所でこんなに良く治せるのに、何がKrさんを二十年も悩ませたのでしょうか。
明らか、現状の歯科のレベルが低すぎるのが原因です。
Krさんの歯をどんどん悪くした責任の大部分は治療レベルにあり、Krさんにはあまりありません。
治療した歯から次々に駄目になるのは、ほとんど全ての患者さんが経験的に分かっていることです。
残念ながら、それが日本の歯科の現状なのです。
それを言うことはタブーになっている世界で、言えばひどい圧力や攻撃を受けます。
私は、どんなに圧力を加えても真実は次第に明らかになり、世の中がそれを知り、公正化が進むのが今の流れだと思っています。
小さい頃から、歯に関しての良い記憶はありませんでした。
小学生の夏休み、一生懸命通院して永久歯がまだ出ていないのに乳歯を一本残らず抜かれてしまい、おそらくそのためでしょう、とてもひどい歯並びになってしまいました。
大人になっても定期的に通院し治療しているのにもかかわらず、どんどん悪くなり常に歯茎のどこかが腫れている状態。
まさに歯槽膿漏!私の場合、上顎の骨が薄くなってしまっていたので、造骨手術をして一定の期間をおいてからのインプラントでした。
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